カード評価 エルドレインの王権 | 物語調で単色重視のカードセット
2019年9月22日 review## 概要
2019-10-03 Fri発売の新しいカードセット「[エルドレインの王権](https://mtg-jp.com/products/0000184/)」の[全カードリスト](https://mtg-jp.com/products/card-gallery/0000184/)が2019-09-21 Satに公開された。
童話をモチーフにしたカードセットとなっており,カード全体が物語調でいかにもファンタジーの世界な内容となっている。
白のレガシープレイヤーとして,気になった以下のカードをレビューする。
- 白
- 静寂をもたらすもの/Hushbringer
- 立派な騎士/Worthy Knight
- 調和のアルコン/Harmonious Archon
- ガラスの棺/Glass Casket
- アーティファクト
- ジンジャーブルート/Gingerbrute
- 石とぐろの海蛇/Stonecoil Serpent
- 跳ね橋/Crashing Drawbridge
- 再録カード
- 《魔術遠眼鏡/Sorcerous Spyglass》
IME辞書はまだ公開されていないが,タイミングがちょうどいいのでこのタイミングでカード評価を行う。
なお,カード検索には「[Scryfall Magic: The Gathering Search](https://scryfall.com/)」を使う。こちらのほうが,最新カードへの対応も早く,Whisperではなぜかヒットしないカードもちゃんとヒットするので,カードの調査にはお薦めだ。ただし,エルドレインの王権の日本語データはまだ反映されていない。
## 白
### 静寂をもたらすもの/Hushbringer
エルドレインの王権での個人的に一番の注目カードだ。
プレイ時の誘発効果と死亡時の誘発効果を禁止するカードだ。
[《倦怠の宝珠/Torpor Orb》](http://mtgwiki.com/wiki/%E5%80%A6%E6%80%A0%E3%81%AE%E5%AE%9D%E7%8F%A0/Torpor_Orb)を内蔵したクリーチャーといえる。同じ用途では,過去に以下の2種類のカードが登場している。
- 《トカートリの儀仗兵/Tocatli Honor Guard》
- 《静翼のグリフ/Hushwing Gryff》
これらと違い,タフネスが2あり,飛行で戦力になるというところが大きな違いだ。《護衛募集員/Recruiter of the Guard》でサーチ可能なのもポイントが高い。
これでパワーが2あれば文句なしだったのだが…
統率者2019で《運命の巻物/Scroll of Fate》も登場しており,白でドレッドノートを組むのもありなのかもしれない。
### 立派な騎士/Worthy Knight
騎士呪文をキャストすると,1/1の白の人間トークンを生成する。《僧院の導師/Monastery Mentor》や《若き紅蓮術士/Young Pyromancer》に近いカードだ。
エルドレインの王権の白は騎士カードを推しのようだ。
騎士カードでは,《模範の騎士/Knight Exemplar》,《刃砦の英雄/Hero of Bladehold》など,強いカードもあるにはある。しかし,出てくるトークンが騎士ではなく,ロードの恩恵を受けられないことと,1マナでアドバンテージを失わない騎士はそうないことから,なかなか活用が難しいのではないかと思っている。
結局,単体である程度仕事できるか,《僧院の導師/Monastery Mentor》や《若き紅蓮術士/Young Pyromancer》のように,アドバンテージを失わずに,1-2マナで効果を連打できないとこの手のカードは難しいのではないかと感じる。
なお,《模範の騎士/Knight Exemplar》は早速200円から800円に値上がりしているようだ。
### 調和のアルコン/Harmonious Archon
《畏敬の神格/Godhead of Awe》に似ているが,こちらは基本のパワー/タフネスが3/3であり,プレイ時に1/1トークンを2体生成する。実質的に1枚で4/5飛行と3/3トークンを2体展開でき,さすがに強い。
ただし,同じことをしようとすると,《刃砦の英雄/Hero of Bladehold》や《先駆のゴーレム/Precursor Golem》のほうが軽くてお手軽だ。
トークンデッキの強化兼フィニッシャーとして悪くはないと感じた。
### ガラスの棺/Glass Casket
3マナ以下のクリーチャーへの一時除去であり,《未達への旅/Journey to Nowhere》の下位互換で,《絹の網/Silk Net》のアーティファクト版だ。ただし,このカードは**アーティファクト**であることに意味がある。《大いなる創造者、カーン/Karn, the Great Creator》からサーチ可能だからだ。
《大いなる創造者、カーン/Karn, the Great Creator》を展開しても,盤面のクリーチャーに*即座*に対応するのは難しい。可能なのはせいぜい《仕組まれた爆薬/Engineered Explosives》くらいだろう。単色だと,《仕組まれた爆薬/Engineered Explosives》は使いにくい。
その点,このカードは即座に3マナ以下のクリーチャーに対応できて悪くない。サイドボードに1枚取るのもありと思った。
## アーティファクト
### ジンジャーブルート/Gingerbrute
《怒り狂うゴブリン/Raging Goblin》の上位互換だろう。しかも,1個目の能力でブロックされない。これはなかなか強い。速攻持ちのクリーチャーはそう多くない。
装備品などで,継続的にダメージを通すとアドバンテージを稼げるカードと相性がいい。
### 跳ね橋/Crashing Drawbridge
0/4の壁だが,タップで速攻を付与できる。役割としては,《稲妻のすね当て/Lightning Greaves》に近いだろう。《稲妻のすね当て/Lightning Greaves》のように,被覆を付与できないが,こちらはその代わりに壁としてライフを守ることができる。
単純に悪くないカードだと思った。
### 石とぐろの海蛇/Stonecoil Serpent
Xマナのアーティファクトとして,マナレシオ的に単純に強い。このカードのおかげで,多くの熊が下位互換になる。
トランプルを持っているのが特に強い。《鋼の監視者/Steel Overseer》や増殖と相性がいい。
## 土地
### アーデンベイル城/Castle Ardenvale
4マナタップで1/1トークンを生成できる。トークン生成カードとしては,標準的だが,ただの土地についている能力としては強い。《Kjeldoran Outpost》は序盤に引くと困るが,このカードは序盤でも問題ない。
トークン系デッキで悪くないだろう。
## 再録カード
### 《魔術遠眼鏡/Sorcerous Spyglass》
既にトーナメントでも活躍している《魔術遠眼鏡/Sorcerous Spyglass》が再録された。
《魔術遠眼鏡/Sorcerous Spyglass》は十分強いカードで,単純に再録されて供給が安定するのがありがたい。値段も100-200円くらいになるのでこの機会に残り3枚を集めようと思う。
《真髄の針/Pithing Needle》は空振る可能性が高いが,《魔術遠眼鏡/Sorcerous Spyglass》は相手の手札を見れて序盤のアクションとして悪くない。
汎用性の高いカードなので,まだ持っていない人はこの機会に4枚集めていいだろう。
## 結論
直近のカードセットが強力すぎたのもあり,白としてはやや地味な印象を持った。
「出来事」という新しいメカニズムが登場したのだが,白としてはやや使いにくいカードが多かった。
以下のカードは購入予定だ。
- 3枚: 《魔術遠眼鏡/Sorcerous Spyglass》
- 1枚: 静寂をもたらすもの/Hushbringer
- 1枚: ガラスの棺/Glass Casket
レガシー環境としては,爆弾カードは出ていないと思うので,良くも悪くも現在のメタゲームが継続するだろう。環境が安定して,対策を練る時間ができたので,日和勢としては悪くはない。
動向を見守りながら,直近の課題である《レンと六番/Wrenn and Six》の対策を考えていく。
個人的には,過去に公式サイトで紹介されていた[ヘイトベアー](https://mtg-jp.com/reading/iwashowdeck/0032557/)がありではないかと思い,《密輸人の回転翼機/Smuggler’s Copter》を集めようと考えている。
《レンと六番/Wrenn and Six》がいる以上,2マナランドに頼ったデッキ構成はリスクが大きく感じる。グリコンのメタゲームから一周して,昔ながらの白ウィニーに戻るときがきたのかもしれない。
2019-10-03 Fri発売の新しいカードセット「[エルドレインの王権](https://mtg-jp.com/products/0000184/)」の[全カードリスト](https://mtg-jp.com/products/card-gallery/0000184/)が2019-09-21 Satに公開された。
童話をモチーフにしたカードセットとなっており,カード全体が物語調でいかにもファンタジーの世界な内容となっている。
白のレガシープレイヤーとして,気になった以下のカードをレビューする。
- 白
- 静寂をもたらすもの/Hushbringer
- 立派な騎士/Worthy Knight
- 調和のアルコン/Harmonious Archon
- ガラスの棺/Glass Casket
- アーティファクト
- ジンジャーブルート/Gingerbrute
- 石とぐろの海蛇/Stonecoil Serpent
- 跳ね橋/Crashing Drawbridge
- 再録カード
- 《魔術遠眼鏡/Sorcerous Spyglass》
IME辞書はまだ公開されていないが,タイミングがちょうどいいのでこのタイミングでカード評価を行う。
なお,カード検索には「[Scryfall Magic: The Gathering Search](https://scryfall.com/)」を使う。こちらのほうが,最新カードへの対応も早く,Whisperではなぜかヒットしないカードもちゃんとヒットするので,カードの調査にはお薦めだ。ただし,エルドレインの王権の日本語データはまだ反映されていない。
## 白
### 静寂をもたらすもの/Hushbringer
Hushbringer {1}{W}
Creature — Faerie
Flying, lifelink
Creatures entering the battlefield or dying don’t cause abilities to trigger.
1/2
エルドレインの王権での個人的に一番の注目カードだ。
プレイ時の誘発効果と死亡時の誘発効果を禁止するカードだ。
[《倦怠の宝珠/Torpor Orb》](http://mtgwiki.com/wiki/%E5%80%A6%E6%80%A0%E3%81%AE%E5%AE%9D%E7%8F%A0/Torpor_Orb)を内蔵したクリーチャーといえる。同じ用途では,過去に以下の2種類のカードが登場している。
- 《トカートリの儀仗兵/Tocatli Honor Guard》
- 《静翼のグリフ/Hushwing Gryff》
これらと違い,タフネスが2あり,飛行で戦力になるというところが大きな違いだ。《護衛募集員/Recruiter of the Guard》でサーチ可能なのもポイントが高い。
これでパワーが2あれば文句なしだったのだが…
統率者2019で《運命の巻物/Scroll of Fate》も登場しており,白でドレッドノートを組むのもありなのかもしれない。
### 立派な騎士/Worthy Knight
Worthy Knight {1}{W}
Creature — Human Knight
Whenever you cast a Knight spell, create a 1/1 white Human creature token.
2/2
騎士呪文をキャストすると,1/1の白の人間トークンを生成する。《僧院の導師/Monastery Mentor》や《若き紅蓮術士/Young Pyromancer》に近いカードだ。
エルドレインの王権の白は騎士カードを推しのようだ。
騎士カードでは,《模範の騎士/Knight Exemplar》,《刃砦の英雄/Hero of Bladehold》など,強いカードもあるにはある。しかし,出てくるトークンが騎士ではなく,ロードの恩恵を受けられないことと,1マナでアドバンテージを失わない騎士はそうないことから,なかなか活用が難しいのではないかと思っている。
結局,単体である程度仕事できるか,《僧院の導師/Monastery Mentor》や《若き紅蓮術士/Young Pyromancer》のように,アドバンテージを失わずに,1-2マナで効果を連打できないとこの手のカードは難しいのではないかと感じる。
なお,《模範の騎士/Knight Exemplar》は早速200円から800円に値上がりしているようだ。
### 調和のアルコン/Harmonious Archon
Harmonious Archon {4}{W}{W}
Creature — Archon
Flying
Non-Archon creatures have base power and toughness 3/3.
When Harmonious Archon enters the battlefield, create two 1/1 white Human creature tokens.
4/5
《畏敬の神格/Godhead of Awe》に似ているが,こちらは基本のパワー/タフネスが3/3であり,プレイ時に1/1トークンを2体生成する。実質的に1枚で4/5飛行と3/3トークンを2体展開でき,さすがに強い。
ただし,同じことをしようとすると,《刃砦の英雄/Hero of Bladehold》や《先駆のゴーレム/Precursor Golem》のほうが軽くてお手軽だ。
トークンデッキの強化兼フィニッシャーとして悪くはないと感じた。
### ガラスの棺/Glass Casket
Glass Casket {1}{W}
Artifact
When Glass Casket enters the battlefield, exile target creature an opponent controls with converted mana cost 3 or less until Glass Casket leaves the battlefield.
3マナ以下のクリーチャーへの一時除去であり,《未達への旅/Journey to Nowhere》の下位互換で,《絹の網/Silk Net》のアーティファクト版だ。ただし,このカードは**アーティファクト**であることに意味がある。《大いなる創造者、カーン/Karn, the Great Creator》からサーチ可能だからだ。
《大いなる創造者、カーン/Karn, the Great Creator》を展開しても,盤面のクリーチャーに*即座*に対応するのは難しい。可能なのはせいぜい《仕組まれた爆薬/Engineered Explosives》くらいだろう。単色だと,《仕組まれた爆薬/Engineered Explosives》は使いにくい。
その点,このカードは即座に3マナ以下のクリーチャーに対応できて悪くない。サイドボードに1枚取るのもありと思った。
## アーティファクト
### ジンジャーブルート/Gingerbrute
Gingerbrute {1}
Artifact Creature — Food Golem
Haste
{1}: Gingerbrute can’t be blocked this turn except by creatures with haste.
{2}, {T}, Sacrifice Gingerbrute: You gain 3 life.
1/1
《怒り狂うゴブリン/Raging Goblin》の上位互換だろう。しかも,1個目の能力でブロックされない。これはなかなか強い。速攻持ちのクリーチャーはそう多くない。
装備品などで,継続的にダメージを通すとアドバンテージを稼げるカードと相性がいい。
### 跳ね橋/Crashing Drawbridge
Crashing Drawbridge {2}
Artifact Creature — Wall
Defender
{T}: Creatures you control gain haste until end of turn.
0/4
0/4の壁だが,タップで速攻を付与できる。役割としては,《稲妻のすね当て/Lightning Greaves》に近いだろう。《稲妻のすね当て/Lightning Greaves》のように,被覆を付与できないが,こちらはその代わりに壁としてライフを守ることができる。
単純に悪くないカードだと思った。
### 石とぐろの海蛇/Stonecoil Serpent
Stonecoil Serpent {X}
Artifact Creature — Snake
Reach, trample, protection from multicolored
Stonecoil Serpent enters the battlefield with X +1/+1 counters on it.
0/0
Xマナのアーティファクトとして,マナレシオ的に単純に強い。このカードのおかげで,多くの熊が下位互換になる。
トランプルを持っているのが特に強い。《鋼の監視者/Steel Overseer》や増殖と相性がいい。
## 土地
### アーデンベイル城/Castle Ardenvale
Castle Ardenvale
Land
Castle Ardenvale enters the battlefield tapped unless you control a Plains.
{T}: Add {W}.
{2}{W}{W}, {T}: Create a 1/1 white Human creature token.
4マナタップで1/1トークンを生成できる。トークン生成カードとしては,標準的だが,ただの土地についている能力としては強い。《Kjeldoran Outpost》は序盤に引くと困るが,このカードは序盤でも問題ない。
トークン系デッキで悪くないだろう。
## 再録カード
### 《魔術遠眼鏡/Sorcerous Spyglass》
Sorcerous Spyglass / 魔術遠眼鏡 (2)
アーティファクト
魔術遠眼鏡が戦場に出るに際し、対戦相手1人の手札を見て、その後任意のカード名1つを選ぶ。
その選ばれた名前を持つ発生源の起動型能力は、それがマナ能力でないかぎり起動できない。
既にトーナメントでも活躍している《魔術遠眼鏡/Sorcerous Spyglass》が再録された。
《魔術遠眼鏡/Sorcerous Spyglass》は十分強いカードで,単純に再録されて供給が安定するのがありがたい。値段も100-200円くらいになるのでこの機会に残り3枚を集めようと思う。
《真髄の針/Pithing Needle》は空振る可能性が高いが,《魔術遠眼鏡/Sorcerous Spyglass》は相手の手札を見れて序盤のアクションとして悪くない。
汎用性の高いカードなので,まだ持っていない人はこの機会に4枚集めていいだろう。
## 結論
直近のカードセットが強力すぎたのもあり,白としてはやや地味な印象を持った。
「出来事」という新しいメカニズムが登場したのだが,白としてはやや使いにくいカードが多かった。
以下のカードは購入予定だ。
- 3枚: 《魔術遠眼鏡/Sorcerous Spyglass》
- 1枚: 静寂をもたらすもの/Hushbringer
- 1枚: ガラスの棺/Glass Casket
レガシー環境としては,爆弾カードは出ていないと思うので,良くも悪くも現在のメタゲームが継続するだろう。環境が安定して,対策を練る時間ができたので,日和勢としては悪くはない。
動向を見守りながら,直近の課題である《レンと六番/Wrenn and Six》の対策を考えていく。
個人的には,過去に公式サイトで紹介されていた[ヘイトベアー](https://mtg-jp.com/reading/iwashowdeck/0032557/)がありではないかと思い,《密輸人の回転翼機/Smuggler’s Copter》を集めようと考えている。
《レンと六番/Wrenn and Six》がいる以上,2マナランドに頼ったデッキ構成はリスクが大きく感じる。グリコンのメタゲームから一周して,昔ながらの白ウィニーに戻るときがきたのかもしれない。
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